第四章「神隠し」

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「…ふぅ。わかりました。連れては行きますが、勝手な行動は謹んで下さいね?」 仕方ないと言わんばかりに同行を認めた。 此処に残しては、佐竹さん達が可哀想ですし…。 と、呟きながら。 「困った人ですね…」 裕也も智久に耳打ちしながら呆れている。 「まあ、仕方ないさ。…元気づけてくれる人間が居るのも、悪い気はしないしな」 困った様に笑う智久は、どことなく悲しげだ。 ―――― 一同は車に乗り込み、ビルを後にした。 「ところで、廃村って何処にあるの?」 後部座席から身を乗り出し、運転席に座る戸塚へと尋ねるリリー。 それを聞いた戸塚は、深い溜め息を吐く。 「一応リリーさんにも見せた、あの資料に載っていたでしょう?」 「うーん、………忘れちゃったわ」 悪びれる様子も無いリリー。 「まるで鶏だな」 助手席に座る智久が窓の外を眺めながら毒気吐く。 「静岡県ですよ」 リリーの隣で裕也が答えた。
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