第五章「軌跡の先に…」

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「富士山ね!!」 裕也の答えに、リリーは子供の様にハシャぎ始めた。 「リリー、遊びじゃないんだからな?」 智久が振り返りながら睨みつける。 シュンッとしたリリーは小さく呟いた。 「甘いミカンは…?」 「無しだ」 「渋いお茶は…?」 「それも無しです」 「新鮮な海の幸は…?」 「無しですね」 三人から即答されて、半泣き状態のリリー。 「じゃあ富士山……」 「それは見れるだろ」 途端に目に輝きが戻っていく。 「富士山~♪」 鼻歌まで歌い始めた。 富士山を見られるのが、よっぽど嬉しいようだ。 「まだ子供っぽさが大きいんですかね?」 微笑みながら尋ねる戸塚。 それに智久も笑みを浮かべて頷いた。
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