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SAを出た一同は、気付けば山道をひた走っていた。
「…………」
そんな中、裕也の顔色が悪い。
比喩的表現ではなく、正に真っ青だった。
「裕也…、大丈夫か?」
声を出すのも辛いようで、小刻みに頷く。
「私の隣で吐かないでよね!!」
冷たく突き放すリリー。
裕也は色んな意味で目が潤んでいる。
裕也が壮絶な吐き気と戦う中、車は徐々に目的地へと近付いていた。
「裕也くん。もう少しの辛抱ですよ」
戸塚がバックミラー越しに話し掛ける。
だが、いつの間にか裕也は窓の外へと、顔を乗り出していて気付いていない。
一瞬、咎めようと思った戸塚だったが、既に人影の無い山中だった為、何も言わずに運転へと意識を戻した。
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