第五章「軌跡の先に…」

4/15

488人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
SAを出た一同は、気付けば山道をひた走っていた。 「…………」 そんな中、裕也の顔色が悪い。 比喩的表現ではなく、正に真っ青だった。 「裕也…、大丈夫か?」 声を出すのも辛いようで、小刻みに頷く。 「私の隣で吐かないでよね!!」 冷たく突き放すリリー。 裕也は色んな意味で目が潤んでいる。 裕也が壮絶な吐き気と戦う中、車は徐々に目的地へと近付いていた。 「裕也くん。もう少しの辛抱ですよ」 戸塚がバックミラー越しに話し掛ける。 だが、いつの間にか裕也は窓の外へと、顔を乗り出していて気付いていない。 一瞬、咎めようと思った戸塚だったが、既に人影の無い山中だった為、何も言わずに運転へと意識を戻した。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

488人が本棚に入れています
本棚に追加