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「此処からは徒歩です」
戸塚が車を止めた場所は、既に道と呼べる物が存在していない場所だった。
「スゥーッ、ハァーッ」
裕也は我先にと車を飛び出し、勢い良く深呼吸をする。
「車酔いするタイプだったんだな」
苦笑いを浮かべ話し掛ける智久。
ひとしきり深呼吸を終えた裕也もまた、苦笑いで答える。
「普通の道なら平気なんですけどね…。山道みたいにクネクネしてると、ちょっと…」
「何はともあれ、無事に着いて良かったわ」
裕也に冷たい視線を送りながら、体を伸ばすリリー。
心なしか、空気が甘く感じられる。
「着いたと言っても、此処から少し歩きますけどね」
最後に降りてきた戸塚を先頭に、一同は廃村へと歩いて行った。
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