488人が本棚に入れています
本棚に追加
「……別に違法じゃないだろ?」
うっすらと笑みを浮かべる智久。
そう、カウントは違法ではない。
ただし、それを行うには尋常ではない記憶力が必要になってくる。
何せ、場に出た全てのカードを記憶しなければいけないのだ。
「仲間は何処なの?」
リリーは目だけを動かし、周りを見渡す。
そんな仕草に、智久は困った様に笑った。
「いないよ、仲間なんて……」
「いない!?カウントしてて仲間がいないって、どういう意味なの!?」
リリーが驚くのも無理はない。
本来なら、カウントする際には数人で行動するからだ。
プレイしながら様子を見て、チャンスの時にはそれを知らせる仲間が数人。
そして、チャンス時に大金をかけてプレイする人間。
普通は、こんな風に役割分担するはずなのだ。
何故か。
それはカジノ側の"網"に掛からない為だ。
確実に大金を奪っていくカウントという手法。
それは違法では無いにしろ、業界では御法度だ。
見付かれば出入り禁止だけでなく、場合によっては半殺しにされてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!