第壱章「出逢い」

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「……別に違法じゃないだろ?」 うっすらと笑みを浮かべる智久。 そう、カウントは違法ではない。 ただし、それを行うには尋常ではない記憶力が必要になってくる。 何せ、場に出た全てのカードを記憶しなければいけないのだ。 「仲間は何処なの?」 リリーは目だけを動かし、周りを見渡す。 そんな仕草に、智久は困った様に笑った。 「いないよ、仲間なんて……」 「いない!?カウントしてて仲間がいないって、どういう意味なの!?」 リリーが驚くのも無理はない。 本来なら、カウントする際には数人で行動するからだ。 プレイしながら様子を見て、チャンスの時にはそれを知らせる仲間が数人。 そして、チャンス時に大金をかけてプレイする人間。 普通は、こんな風に役割分担するはずなのだ。 何故か。 それはカジノ側の"網"に掛からない為だ。 確実に大金を奪っていくカウントという手法。 それは違法では無いにしろ、業界では御法度だ。 見付かれば出入り禁止だけでなく、場合によっては半殺しにされてしまう。
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