第五章「軌跡の先に…」

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「本当に、こんな場所なんかに廃村なんてあるの…?」 カサカサとした草が顔に当たる度、リリーは不機嫌そうに言う。 「…その廃村は解体工事の途中で放置されています。何でも作業者が原因不明の事故などで死亡する事件が相次いだらしいんです」 山中特有の湿った空気に苛つき、戸塚も僅かながら素っ気なく返した。 「それで工事を引き受ける業者が居なくなってしまったらしいんですよ」 「だから、ここは道が埋もれてしまってるんですか?長い間、放置されたせいで…」 数歩後ろを歩く裕也の問い掛けに、戸塚は振り返らずに頷く。 「…さて、そろそろ見えてくる頃です」 戸塚の声が合図だったかの様に、木々が切り開かれた先にそれは見えた。
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