第五章「軌跡の先に…」

9/15

488人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
一同は全員で廃村を調べていた。 単独行動によるメリットよりも、デメリットの方が大きく多いから。 一軒目の家屋に入ると、すぐに嫌な臭いが鼻を刺激した。 「カビ臭い……」 リリーが顔をしかめて言う。 それに同意した裕也も、何度か頷く。 「…特に何も無いですねぇ」 少し残念そうに肩を落とす戸塚。 そして、短く続ける。 「まあ、調べるのは初めてじゃないので予想はしていましたけど…」 それもそのはず。 あれだけ多くの失踪者が残した手掛かりだ。 既に捜索を終えているのが普通だった。 「まだ一軒目です。…諦めないで次に行きましょう」 智久の励ましの言葉に、戸塚が頷く。 そして、次の家屋へと向かった。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

488人が本棚に入れています
本棚に追加