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数時間後…。
殆どの家屋を調べ終わった一同は、落胆の色を隠せずにいた。
「あと二軒ですね…」
裕也の呟きに、嫌でも最悪の状況が目に浮かぶ…。
冷たい風が吹き、外へ出た一同を包み込む。
それは春の渇き気味のサッパリとした風では無く、じっとりとした真夏の風のようだ。
「此処は臭わないわね」
リリーが不思議そうに室内を見回す。
確かに最近、頻繁に人が出入りしたかの様に空気が澄んでいた。
「でも、此処は酷く荒れてますね」
裕也の言葉通り、この家屋の荒れ方は他とは違った。
「…変ですね」
戸塚は違和感を覚えている。
この中で唯一、この場所へ来た事がある戸塚。
その戸塚が言うのだから、そういう事なのだろう…。
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