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地下へ向かうに連れ、段々と気温が低くなっていく。
「智久さん…。どうかしたんですか…?」
時折、後ろを振り返ると、智久は難しい顔をしていた。
それが気になり、問い掛ける裕也。
「…ん?いや、何でもない」
焦る素振りも見せず、言葉を濁す智久。
「それなら良いんですけど…」
前に向き直り、足を滑らせぬよう慎重に歩く。
そして、先頭を行く戸塚が、不意に足を止めた。
「どうやら、階段は終わりみたいですね…」
一同の目の前には、鉄製の大きな扉が行く手を阻んでいる。
「嫌な光景だ…」
智久は扉を見つめながら、あの時の事を思い出す。
それは、今でも生々しく脳裏に潜む、忘れられない悪夢だった。
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