第六章「悪魔の視線」

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「智久さん達は、大丈夫ですかね…?」 心配げな顔色で、縋るように問い掛ける裕也。 「どうでしょう…。此処が危険なのは変わらないですし…。まあ、永宮くんなら何とかしますよ」 過度の期待を持たせないよう、言葉を選んで返す戸塚。 希望は必要だが、期待は不必要だ。 それを知る戸塚なりの優しさだった。 「そうですよね…。智久さんなら…」 僅かながらも顔色が良くなる裕也。 それを確認した戸塚が口を開く。 「ええ。…それより私たちの方が危ないかもしれませんよ?こんな暗いんじゃ幽霊でも出るかもしれません」 微量の笑みと冗談を交えた言葉に、裕也も笑顔が戻っていた。
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