第七章「矛盾」

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「リリー…」 智久が言いかけた時、遠くで"何か"の声が聞こえた。 「………!?」 二人は顔を見合わせ、聴覚へ神経を集中させる。 「…何かしら?」 微かに聞こえるのは、猿の様な鳴き声。 しかし、猿にしては少しばかり低音だった。 「…行こう」 リリーが濡れたままの服を嫌そうに見つめながらも、二人は音の先へと向かう。 ―――― 「多分、この辺だったはず…」 【A‐3】へと続く扉の直ぐ傍。 この辺りから聞こえていたが、今は静寂が漂うだけだ。 「……調べた方が良さそうね」 壁に付着する液体を見つめ、リリーが呟く。 智久も確認すると、それは生々しい血痕だった。
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