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「リリー…」
智久が言いかけた時、遠くで"何か"の声が聞こえた。
「………!?」
二人は顔を見合わせ、聴覚へ神経を集中させる。
「…何かしら?」
微かに聞こえるのは、猿の様な鳴き声。
しかし、猿にしては少しばかり低音だった。
「…行こう」
リリーが濡れたままの服を嫌そうに見つめながらも、二人は音の先へと向かう。
――――
「多分、この辺だったはず…」
【A‐3】へと続く扉の直ぐ傍。
この辺りから聞こえていたが、今は静寂が漂うだけだ。
「……調べた方が良さそうね」
壁に付着する液体を見つめ、リリーが呟く。
智久も確認すると、それは生々しい血痕だった。
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