第七章「矛盾」

5/8
前へ
/204ページ
次へ
「クローンの後に、ある生物を生み出したみたいですね…」 「その生物の身体的特徴ですが、姿は人間には程遠いみたいです。更に筋力は成人男性の30~50倍、特に顎の発達が著しいみたいです」 手元の資料を読みながら語る戸塚。 若干、声が上擦っている。 「言語能力も無いみたいですが、知能指数は高いようです」 裕也も息を呑みながら話に意識を集中した。 「眠欲や食欲は人間と変わらず存在」 この後、声のトーンを落としながら続ける。 「しかし、食欲が異常で動く物は捕食対象…」 「それって…、つまり……」 ここで裕也が口を開く。 戸塚は頷きながら言った。 「我々人間も餌って事ですね…」 二人は嫌な汗を流す。 それが、この施設を彷徨いていたら…。 考えるだけで恐ろしかった。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

488人が本棚に入れています
本棚に追加