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「ハァッハァッ…裕也くん、大丈夫ですか?」
苦しそうに問い掛ける戸塚。
それに対し、裕也は悲しげに答える。
「大丈夫かって、戸塚さんこそ……」
裕也の視線は、戸塚の左腕を捉えていた。
そこからは赤黒く生々しい血が流れ落ちている。
「私は大丈夫ですよ…、掠り傷ですし。…まあ、ちと痛みますがね」
強がってはいるものの、明らかに出血が多い。
放っておけば倒れてしまうだろう。
「取り敢えず止血しましょう…。"奴"も直ぐには追いつかない筈です」
自分の服を千切り、戸塚の腕へと巻きつけた。
これで応急処置は大丈夫だが、早めに傷口を縫う必要があった。
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