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「………今の聞こえたか?」
室内でパソコンを操作していた智久が言う。
リリーが小さく頷いた。
「戸塚さん達か……?」
智久は立ち上がり、扉の近くに寄る。
耳を近づけるが、周辺に人の気配は感じられない。
「見てくるから待っててくれ」
そう言うと、リリーが腕を掴んだ。
「私も行く……」
暗い部屋に一人だけ取り残された子供の様な。
そんな怯え方をするリリー。
智久は仕方なく頷く。
「………」
扉を開けると、広がるのは先程と変わらぬ通路が見える。
「……戸塚さん?」
智久が小さく声を掛けたが、響くのはダクトからの風音だけだった。
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