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「良いですか…?奴は多分、目が見えていません。音を立てずにやり過ごすんです…」
戸塚は、傍にいる裕也ですら聞き取りづらい声で言う。
それに無言で頷き、二人はピクリとも動かなくなった。
「……ギ」
鳴き声なのだろうか、奇妙な声を発しながら周辺を彷徨く怪物。
「…ギギ」
徐々に二人との距離を狭め、それにつれて裕也の鼓動も加速する。
戸塚は覚悟を決めたのか、目を瞑りながら立ち尽くしていた。
そして怪物と二人が並んだ時、裕也も目を瞑る。
一瞬が長く…。
とても長く感じられた…。
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