第八章「人のカタチ、人の選択」

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「アナタは………」 二人の目の前には、怯えきっている少女がいた。 衣服の状態から見て、何かに襲われたのは間違い無い。 よく見ると、右の腕から出血していた。 「君は榊原綾香さんだね…?」 智久が自分の上着を少女に羽織らせながら言う。 その問いに、静かに頷く少女。 「……榊原って」 リリーの言葉に頷きながら続ける。 「日本国首相。榊原宗佐(サカキバラ ソウスケ)の娘さ」 その言葉を聞き、綾香は改めて智久の顔を見た。 「あなた…、三年くらい前の…」 「山荘大量殺人事件被告、永宮智久…」 そう告げられた智久は、酷く悲しげな顔を浮かべた。
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