第九章「消失」

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「大丈夫ですか…!?」 銃声が聞こえた戸塚と裕也は、全速力で駆けつけた。 その場には力無く座り込む二人と、見知らぬ少女がいる。 更には怪物と、研究者らしき男性の死体。 ひとまず智久達に怪我が無いと解り、一安心する戸塚。 「貴女は総理のご令嬢…、榊原綾香さんですね…?」 戸塚が俯く綾香を見つめ、問い掛ける。 綾香は黙って頷いた。 「…これは、智久さんが?」 怪物の死体を見下ろしながら裕也が尋ねる。 「………リリーだよ」 その答えに、戸塚と裕也は目を見開いた。 どこか抜けているリリーが、たった一発の銃弾で…。 その事実が信じられないようだった。
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