第九章「消失」

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「…何はともあれ、皆さんに怪我が無くて良かったです」 裕也が安堵の笑みを交えながら言うが、智久は何も答えなかった。 「どうかしましたか…?」 戸塚も気になり、心配する様に言う。 「いえ、何でも…。それより、榊原さん…」 「上の名前で呼ばれたくない…。綾香で良いわよ」 「綾香…。さっき言ってた仕組んだっていうのは、どういう事なんだ…?」 次々と重なる問題や疑問に、智久は頭を悩ませているのだろう。 その声には覇気が感じられない。 「それじゃあ、話すわね…」 綾香は一呼吸置いて、話し始めた。
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