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「陰謀って、どんな…」
声を上擦らせながら口を開いた裕也。
それに対し、綾香は淡々と答える。
「何かの計画の為に、優秀な人材を見つける為…」
「そして、その二年後には優秀と判断された人間に対し、極秘の、相手にも解らない様なシミュレーションを行なったらしいわ」
「…自分の敵になりそうな人間を把握する為に…」
敵という単語に、一同は息を呑んだ。
「それで、把握してどうするんです…?」
半ば解りつつも、戸塚が問い掛ける。
「消すのよ…。この世からね…」
もうその場には、一欠片も光は無い。
どす黒い陰鬱な雰囲気と、自分の国の闇が渦巻いていた。
「そして、あの男は次々と消していった。まるで蟻を踏みつぶす子供みたいに、簡単にね…」
綾香は憎しみの籠もった声で続ける。
その姿は、どこか痛々しかった。
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