第九章「消失」

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「陰謀って、どんな…」 声を上擦らせながら口を開いた裕也。 それに対し、綾香は淡々と答える。 「何かの計画の為に、優秀な人材を見つける為…」 「そして、その二年後には優秀と判断された人間に対し、極秘の、相手にも解らない様なシミュレーションを行なったらしいわ」 「…自分の敵になりそうな人間を把握する為に…」 敵という単語に、一同は息を呑んだ。 「それで、把握してどうするんです…?」 半ば解りつつも、戸塚が問い掛ける。 「消すのよ…。この世からね…」 もうその場には、一欠片も光は無い。 どす黒い陰鬱な雰囲気と、自分の国の闇が渦巻いていた。 「そして、あの男は次々と消していった。まるで蟻を踏みつぶす子供みたいに、簡単にね…」 綾香は憎しみの籠もった声で続ける。 その姿は、どこか痛々しかった。
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