第九章「消失」

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「黒死病…。ペストか…」 智久が険しい表情で呟き、綾香が頷いた。 「何ですか?そのペストとか、黒死病とかって…」 裕也が首を傾げながら問い掛ける。 「14世紀、ヨーロッパで流行した病気だよ。それ以前にもあったみたいだが、その流行が一番大きかったみたいだ。ヨーロッパ人口の三割が亡くなったくらいだからな」 智久の説明に、裕也は顔を青くしながら返した。 「助からないんですか…?」 その声は驚くほど低く、悲しみが籠もっている。 「そんな事は無いさ。ストレプトマイシンかテトラサイクリン。もしくは、サルファ剤が有れば治療出来る」
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