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日もだいぶ落ち夕方
最後に勇が
「あれに乗りたい」
と指したのは観覧車
「しょうがねーなぁ」
今日だけは付き合ってやる
閉店間際の遊園地、観覧車に乗る俺達
帰る人達を見ながら、楽しい時間の終わりが近づいていることを実感する
「どうかしたの?マコ兄」
「なんでもねーよ・・・」
最初はウザイだけの存在だった勇が
この三日で俺の中で大きな存在となった今
別れが寂しく思えてくる
「明日・・・帰るんだよな・・・」
無意識に出た言葉
別れを惜しむ俺の本心なのかその声に力がない
「・・・・・・」
その言葉を聞いて勇の顔が曇る
「ま、まぁそうは言っても会えなくなるわけじゃねーんだし
暗い顔すんなよ、な」
別れが悲しいのは事実だが、
今日の思い出は楽しくあって欲しいから
慌てて取り繕う
「・・・そうだね」
勇の顔は暗いままだ
なんとか雰囲気を変えようと話題を探すが見つからない
無言のまま時間が過ぎる
もう少しで頂上という所で
「あ!」
と勇が叫ぶ
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