第四章

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 飲みの席の空気が好きだ。 アルコールで人の感情の蓋が一部分外れて、少しばかり素直というか、素の表情が見える。 そうした空気が、好きだ。 だから、というか、最も彼だからというのもあるのだけれど、誘われた時二つ返事で私は飲みに行くことを了承した。 社交辞令だと思っていた飲みに行こうという誘いが現実味を持って、そうして約束の日となった今日、朝から柄にもなく落ち着かない気持ちで過ごしている。 折角の、飲みの席なのに。 「あー…うー…うう、」 「うん、いい加減落ち着こうか。」 「無理…。」  大学のカフェテリアの隅。 窓際で太陽の一番差し込む席は心地好い。 そこに親友と二人、カフェラテと甘い物を片手に陣取って、ぬくぬくとした時間を過ごすのが私の日課とも言える。 寧ろ履修の時点で何処かしらに空いた時間を作ってはこうして毎日、無駄な時間を過ごす。 時間の浪費と言われればそこまでだけれど、息抜きは絶対的に必要だと思うのだ。 だから良しとする、自分勝手な正当化だけれど。
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