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「幾らなんでもそりゃ無いですよ先輩。
本当に運命を操る奴がいたとして
ソイツが全人類、全世界を賄っているってことですよね?
だったら、もうソイツは人なんて尺度に収まらない、
それこそ神か何かですよ」
そんな奴いたら、
正直許せないしな。
「まあ、仮の話だよ、龍希。
もしそんな神みたいな存在
運命を操る存在
そんな存在に君がなれたら
君ならどんなことをする?
きっと、なんでも手に入るよ」
なんか、哲学的というか難しい問いをしてくる人だなぁ……。
「そんなの凄すぎて想像もつきません。
そもそもそんな存在になった時点で
既に全てを手に入れてるんじゃないですか?」
「うんうん、そうだね。
でもせっかくだから何か大きいことしたいと思わない?」
クルリと振り返り口元に僅かな笑みを浮かべる彼女。
「じゃあ、もし
先輩がそういう神的な存在になったら
何するんですか?」
ニッコリと彼女は笑って
「世界滅亡」
と言った。
「ええぇぇぇえ!?」
そんな純粋な笑顔でなんてどす黒いことをっ……!
「フフフ……。
でも、私じゃなくてもそんな存在になってしまったら
最終的に世界滅亡を望むんじゃない?」
「いや、無いですよ!?
先輩が思いの外、ダークサイドでビックリ仰天ですよ俺は!!」
彼女は本当に不思議そうに首をかしげる。
「そうかな?
だって運命操って世界はこのザマだよ?」
どのザマだよ。
「こんなに中途半端な世界ならいっそ、滅ぼしてまっさらにして
一から創り直した方が
よっぽど良いよ」
一瞬、
彼女の声に
感情が消えた気がした。
なんだか……
世界そのものに恨みがあるんだろうか、彼女は?
そんな俺の視線に気づき、彼女は上目遣いに微笑む。
「本当のところ、
私にとって世界がどうなろうが
どうでもいい。
私が望むのは
【永遠】なんだ」
永遠……という言葉に妙に感情がこもっていた。
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