小学生時代⑤

2/6
前へ
/1859ページ
次へ
おれたちはいつでも十二人だった。 2016年、 今(2022年)から六年前のことだ。 おれたち十二人はまだ小学生だった。 おれは小学校一年生。 兄貴は小学校五年生。 おれたち兄弟はいつも 十二人の中の二人だった。 毎日、遊んだ。 必ず十二人で、遊んだ。 おれたちはいつでもあの十二人の輪の中に居た。 その中心に居たのは いつも 兄貴だった……。 7月25日。 夏の暑い一日。 「起きろ、竜次(たつじ)! ひみつのかくれがへ行くぞー!」 その日も兄貴がおれの名を呼び起こす。 今は夏休み。 学校の授業はない。 なのに、兄貴はいつもより十分も早くおれを起こす。 しかも何か上機嫌だ。 夏休みに入ったことで四六時中遊べるからかもしれない。 おれは眠気が完全に醒めきってはいなかったが起きることにした。 こうしておれの、 門司 竜次(もじ たつじ)の一日がまた始まった。
/1859ページ

最初のコメントを投稿しよう!

414人が本棚に入れています
本棚に追加