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「それだけ……って、どういう意味ですか?」
彼女は瞳を離さず、俺の瞳を覗き込む。
「例えば……
貴方にとって、
『今日』は
何か一人でいたいような……
そういう気分になる日だとか……ね」
今日……。
7月7日。
七夕……。
そうだ。
俺にとって、今日
七夕とは
どうしても気分が晴れない
理由がある……。
誰かといても息苦しいだけ。
毎年、七夕の日には
思い出してしまうからだ。
今から七年前の七夕、
2014年の7月7日。
俺は一人の少女を殺した。
直接的で無いにしろ、俺が殺したも同然のこと。
俺はあの日の罪を一生背負い、一生悔いる。
七夕は……俺にその意識を強めさせるために
定められた日なんだ。
七夕には俺は出来れば一人でいたい。
だから俺はあの日のことを家族である竜次はおろか、親友である零人や神無にだって話していないし
悟られないようにしていた。
なのに……
たった今、初対面の
『彼女』には全て見透かされた気がした。
いや、違う。
見透かされたのではない。
・・・・
『彼女』は始めから
全て知ってるような気が……。
「どうしたの?
急に黙り込んじゃって……」
クスリと彼女は笑う。
……な
何、考えてんだろ……俺。
見ず知らずの彼女に俺しか知らない過去の出来事を知り得ることなど不可能に決まっているじゃないか……。
「い、いや……こんなに暑いのに、
先輩は汗かかないんだな、って思って」
実際に彼女が汗をかいてる様子は無い。
俺は真逆に額から汗がしたたり落ちた。
それが暑さによるものか……
冷や汗か……は置いといて。
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