第1話『始まり、そして』

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      「あー楽しかったぁ」 彼女は両手をブラブラさせながら俺の少し先を歩く。 それを追いかける様にして歩く俺は、彼女が買った洋服達を持っている。 いっぱい買いやがって……。 どうせタンスに入れて放置すんだろうが。 「何か思いましたか?」 真優は、クルッと回れ右……いや回れ左をして俺を見て言う。 スカートがヒラッてなったが、しましまな物は見ていない。 「別にぃ」 両手に洋服達が入ったビニール袋を持って歩く俺と、こちらを見ながらニコニコ笑う真優を春風が包む。 「あっそー」 また回れ左をして先に行ってしまう。 ちょっとは待ちなさい。 まぁこんな風に生活できればいいなぁ。 とか思っていた時期が俺にもありました。
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