第1話『始まり、そして』

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      春なのにまだ肌寒いという4月。 長袖に黒いパーカーを着て家を出た。 「おぅ」 家の前で立っていた美少女は、フリフリ付きのミニスカートにワンピースみたいなのと、その上に何かを羽織っている。 小さな胸がけしからん。 「何か思った?」 頬を膨らませる彼女はとても可愛らしい。 綺麗な青空に浮かぶ太陽がちゃんと地球を照らしているが、風が冷たく立ち話をするとすぐに風邪をひいてしまいそうだった。 「それよりどこ行くんだ?」 玄関に鍵をかけ、真優の方へ近付く俺。 「新しい洋服屋が駅前にできたんだけど……」 洋服とかセンスないからあんま行きたくないんだよなぁ……。 まぁいっか。 駅までは歩いて5分程度で行ける距離だ。 ボルトが走ったらまぁ1分半くらいじゃね? 「わかった」 とだけ言い、人通りの少ない桜が舞う道を隣り合わせで歩き出した。
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