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「(遅い…。)」
執務室では、総帥・ハルカがマユを待っていた。
「(何をやっているんだ?あいつは…。)」
ハルカは静かに書類に目を通した。
しばらくして…、
「呼んでくるか…。」
ハルカは席を立ち、マユの自室に行った。
マユの自室前ー
「(ったく、休憩時間はとっくに終わっているのに…)…ん?」
ハルカはドアの前で耳を傾けた。
かすかだが、泣き声が聞こえる…。
「マユ、入るぞ。」
マユの返事も待たず、ハルカは自室に入った。
自室に入ったとたん、驚いた。
泣き声の正体は、マユのだった。
「おい…。」
「っ…うっ…ヒック…」
ハルカが声をかけるが、マユはそれに気付かずただ泣いている。
「どうした?何を泣いている?」
ハルカの声が聞こえたのか、マユはゆっくりと顔を上げた。
その顔は、涙で濡れ、目が真っ赤に充血していて、目の下が赤く、ひどい顔だった。
「ひどい顔だな…。」
ハルカは呟いた。
「総帥は…。」
「ん?」
マユが涙声で言った。
「…っ、総帥はあたしのこと、嫌いなんですよね?…ヒック、あたしは…あたしは…グズ…総帥のこと…好き…なのに…グスン…」
そう言うと、また涙が溢れ、泣き出した。
「マユ…。」
ハルカは、ただ見ることしか出来なかった。
「?何だ?」
ハルカが視線を下に向けると、数輪の花が床に落ちていた。
「これは何だ?」
ハルカはその中から一輪とり、マユに見せた。
マユは再び顔を上げた。
「花占いに使った花です…。」
「花占い?」
「はい…。チアキに教えてもらったんです…。グズ…最後の一枚で…相手の気持ちが…分かるって…グスン…。」
「そうか…。(そいつに聞くか…。)」
ハルカはマユの頭を撫で、自室を出た。
「(マユを泣かしおって…。ただじゃおかん…。)」
ハルカはチアキのもとへ向かった。
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