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ひどく蒸し暑い、寝苦しい夜だった。
この時期になると、決まって薄気味悪い夢を見る。
真っ暗な闇夜に、鋭く尖った三日月が浮かんでいる。
次第に月は赤く染まり、真っ赤な血を流すのだ。
その血は地面を覆いつくし、海になった。
青白い顔をした、美しい女性がただひとり、ぷかりと浮かんでいた。
まるで、死んでいるかのように…。
三日月は、彼女を貫いていた。
闇を染めたもの。
それは彼女自身。
そして、闇の奥で何かが見ていた。
見つめていたもの。
それは、彼女だったのか。
それとも…僕だったんだろうか。
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