中洲

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初めて中洲に来たのは19歳の11月だった。 飛び込みで面接してもらった俺は小さなホストクラブで働いていた。 小さな箱だったから、客が店に入らず一日中キャッチすることが当たり前。 毎日キャッチの繰り返しだった。 ある程度客がついてきたら毎日同じ言葉の繰り返し。 ほんとに好き? 大好きだよ 誰にでも言ってるんでしょ? お前にしか言わないよ じゃあ、お店終わってから会ってくれる? ずっと一緒にいたいな とって貼付けたような笑顔で平気で嘘をつく。 楽しく飲んでるフリをしながら金額を計算する。 嫌いになったの? そんなことないよ じゃあ、なんで連絡くれないの? 仕事が忙しいんだよ 少しでも会えないかな? 店に来たら会えるよ なんでこいつは一度寝ただけで彼女面するんだろう? うっとうしい 会いたいなら店に来たらいい 嫌われたくないなら金を使えばいい 簡単だろ? ボランティアじゃないんだよ お前は楽しい時間を買ってるだけ 金がないなら何も買えない 自分がどんどん黒くなっていくのがわかった。 少しずつ確実に。 どんどん肌に纏わり付いてきて、俺は真っ黒になった。 オレハナニヲシテイルンダロウ? オレハマチガッテナンカナイ オレガタダシイ シンジルオマエガワルイ オレハ…オレハ…
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