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「今すぐ返事くれなんて言わない。
俺達は俺達で新しく関係を作りたいんだ。
茶飲み友達でいいから・・・これからはたまに一緒に茶でも飲まないか?」
櫻嘩が手を伸ばす。
その手はパーマのかかった髪に触れて、フワリと手から滑り落ちた。
「私は・・・あの・・・」
「嫌なら嫌ってハッキリと言えよ。じゃないと俺は諦めきれない」
「っ嫌なんかじゃっ!だけど私はまだ・・・」
櫻嘩は今まで見たことない顔で声をあげて笑った。
「ハハッ。言ったろ?今すぐ返事はいらない。
撫子が『俺でいい』じゃなくて『俺がいい』になるまで待つから。
例え俺じゃない他の誰を選んでもジイさんが忘れられなくてもいいんだ・・・撫子が嫌になるまで俺をあんたの側にいさせてくれ」
撫子は自分の顔が熱を持って赤いのに気付いている。
彼が好きかと言われたら、まだ解らない。
だけど彼の言葉に胸が高鳴っているのは本当。
目の前にある『桜』はどちらも私に微笑んでいて、風は優しく温かい。
「はい・・・お茶飲み友達からお願いします」
陽射しはどこまでもまぶしくて、きっと明日も普通に来る。
前を向いて・・・歩いていこう。
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