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場所は落ち着いた雰囲気のあるカフェの一角。
茶封筒を机に置いて、二人は談笑している様だった。
「恥ずかしいから止めてくださいよ。だいたい今回映画化したのはたまたまって言うか・・・読者の皆さんが『彼女達の話』を応援してくれたからですよ」
すると担当の男性はキラリと目を光らせた。
「そういえば実話を元にしているんですよね?衝撃的な話だと思うんですがどこからどこまでが本当の話だったんですか?さすがに年が離れても60歳差は無いでしょう?」
櫻嘩は2年ほど年を取って雰囲気が柔らかくなった様に感じ色っぽい長いまつげを、ふと伏せる。
目の前には黒々としたコーヒー
茶色の封筒
そして厚みのある一冊の本・・・
「・・・観る人によっては狂気の沙汰だという厳しいお言葉もずいぶんいただきました」
彼は自分が世に出した初めての物語を手に取り、ソッと表紙を撫でる。
「『あり得ない』『陳腐だ』『綺麗事』なんかもネットでは当たり前のように叩かれる決して万人受けするような話ではないでしょうね・・・俺自身がそうでしたから」
担当の男性は驚いたように目を見開く。
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