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宇宙船・潮風号は今日も自動メンテナンスを終え快調そのものだ。
さえないとしか言いようのない二十歳の男・ターナーはパジャマのままベッドのはしに座り、ロボットが朝食として用意したコーヒーとチョコバーをもさもさと食べている。
ロボットは潮風号に付属のミラー星製の無限可変執事ロボットで、彼・ピーターのおかげでターナーは一日のほぼすべてをベッドの上ですごすことも可能だ。
ピーターは一応男の名前だがロボットでどんな姿にもなれるので名前の性別にはあまり意味がない。
現に今はターナーの希望で黒いスキニーと白い開襟シャツを着た明るい茶髪の美女の姿をしている。しかしピーターという名前だけはゆずれないようだ。
「今日の船のデザインはどうなさいますか?」
ピーターはターナーが床に投げ捨てたチョコバーの袋を拾いながらたずねた。
「そうだな。じゃあ今日はパリのアパートだ」
飲み終えたコーヒーのカップを差出しながらターナーはうきうきしている。
「外装はそのまま卵形でいい、黄色がいいな」
ピーターがカップを受け取る。
「かしこまりました。酔いますので」
「わかってる、目を閉じろだろ」
ターナーはぶっきらぼうにさえぎった。
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