かぎろひの章

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その子は真っ白かった。 少なくとも私が彼に抱いた印象はそうだった。 私と同じくらいの背丈なのに髪は艶やかに白く 肌の色も中途半端なやけかたで病的な白さだ。 右の黒い目はその白さを引き立て 前髪で隠れた左目はどこを見ているのか分からない。 寂しげな……ううん、何かを諦めたような無表情 薄汚れた小袖はすっかり色褪せて その裾から見える手首は細い 村の中では異彩で、行き交う大人は憐れみや嘲りの視線を彼に送った 諦めた表情はもしかしたら大人に向けたものかもしれない
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