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カン カン
群生している笹竹を抜けた少女は今、小さな川を渡っていた。
雨が降ったが、あまり増水していない、川の流れは速かった
だが少女は濡れた岩の上を危なげなく渡っていく
落ちたら間違いなく溺れる危険があるというのにだ。
右に左に
いっそ爽快なほど岩と岩を飛び移っていた。
少女は嬉しそうに目を生き生きと輝かせていた。
雨は何時からか止んでいた
「朝霧(アサギリ)様、申し訳ございませぬ…………。陽夜様が屋敷より逃亡さ………。」
「よい。捨て置け、直に帰ってくるであろう。」
先ほど陽夜を探しにいった、女が一人の男―――彼女の主人に申し訳なさそうにしていた。
だが、主人の言葉を聞くなり唇を噛みしめ眦を吊り上げた。
「陽夜様が心配でないのですか!?」
「お前が心配しているのは、自身の地位だろう。」
図星だったのか、僅かに女が狼狽え視線が宙をさ迷った。
握りしめられていた手で震えた。
「そのようなことなど、ありませぬ!!」
「菜摘(ナツミ)。」
冷ややかな男の視線が苛立たし気に向けられた
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