9才

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母は短気で口は悪い。 口では母に勝てなかったのだろう。 ある日喧嘩をした時にアイツが母の顔を殴った。 平手打ちで2発。 今でもその光景は覚えている。 母が反抗すると髪を引きずりテーブルの角に叩きつけた。 その時母は頭を3針縫った。血を流しながら母は泣き続ける私と兄を抱き寄せて「ごめんね。まぁ(私の名前)、たつ(兄の名前)怖い思いさせてごめんね」 と言い続けた。 恐怖で泣いていた私の中で恐怖より、憎しみが生まれてきた。 私のママを殴って許さない!アイツは絶対許さない!いつか殺してやる! どんなに母が口が悪くても母が悪くても私にとってはたった一人の親だ。 道理がいかなくったって、母が間違っていたとしても私には母と兄しかいない。 そう心に決めたのは、母が頭を縫った私が小学校三年生の時だった。
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