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時間がきた。目の前に、ご飯が運ばれてくる。もちろん私のだ。器に山のように盛られて、実においしそう。
それを見ていると、自然と腹が鳴る。食欲がそそられる。私は一気に食べようとした。だが、そこに邪魔者が現れた。
「おい、まだ食うなよ」
そいつは、ご飯を食べようとする私を大きな腕で制す。それでも私は、負けじと必死に食べようとする。が、そいつはさらに力を加え、私を押さえつけた。
痛っ。思わずうしろへ飛びのく。
そうしているあいだに、そいつは小さなビンをとりだした。中には、金色の粉が入っている。それをご飯の上に、アホみたいにふりかけはじめた。みるみるうちに、ご飯が金色になっていく。
「よし、できた。思う存分、食べろよ」
そいつは満面の笑みで、ご飯を差しだした。日の光を浴びて、それは金に輝いている。
私は黙って、金のご飯を見つめていた。今までずっと我慢して、食べてきたが、もう限界。完全にトサカにきていた。
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