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すると、人影もあとを追うように、なんと速度を上げたではないか。
とたんに、少女の恐怖が爆発した。
「いやー!」
悲鳴をあげながら、大きく駆けだす。風を切るようなスピードで走った。なにせ彼女は陸上部。そこらへんの人間より実力がある。人影との距離を一気に離す。
「おい、待ってくれ」
どこかで聞いたことのある男の声が耳に入ったが、足をとめることはなかった。
こうして、少女はなんとか無事に自宅へとたどり着いた、というわけである。
「あー、こわかった」
そうつぶやいたとき、ガチャガチャとドアノブをまわす音がした。
「ま、まさか、追ってきたの?」
少女の体が固まる。動けない。
そうしているあいだに、音はおさまった。だが次の瞬間、軽い音がし、ドアが開いた。
「パパ!」
少女は驚きの声をあげた。
そこに立っていたのは、なんと彼女の父だった。
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