レンタルダーリン

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 イケメン、童顔、ハンサム、渋い。  若い女が簡単な感想を頭に浮かべながら、歩いている。その視線の先には、色とりどりの男たちが並んでいた。彼らは必死に微笑みかけたり、ウインクを投げたりし、必死に彼女の気を引こうとする。また、口を必死に動かし、「好きだ」とか「愛してる」とか叫ぶ者もいた。だが、それは無駄である。なぜなら男たちと女のあいだには防音ガラスがあり、声をだしても届かないからだ。  そんな中、ひとりの男の前で女の足がとまった。女はその男をまじまじと見た。まるで品定めをするかのように。  一方の男は必死にアピールをする。彼は、自分がかなりのイケメンである、ということを自覚していた。ここぞとばかりに流し目を使い、軽く笑みを浮かべた。 「あなたにするわ」  しばらくし、女はうっとりした表情で言った。すると、恰幅のいい婦人がやってきた。 「決まったのね。じゃあ、契約期間は一年。それをすぎれば、違約金をもらうからね」 「ええ。わかってますわ」  女はうなずき、かなりの大金を婦人に渡した。
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