b 虚しさ

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「ね、植原サン」 ズンズンとうるさい音が響くホールの中で広瀬の友人が耳打ちしてきた。 広瀬は飲み物を取りに行ってる。 …いやだな。 「……なんでしょう」 「そんな嫌な顔しないでよ」 ははは、と笑う彼は好青年のように見える。 髪も短い。背も高い。 高校生の男の人ってかんじ。 …でもやっぱり知らない男の人は苦手だ。 「広瀬と付き合ってるってほんと?」 「は?」 やばい。思いっきり間抜けな声出しちゃった! 「その反応だと…嘘…かな?」 高い背丈をすこし屈めて、こちらの顔を覗き込んでくる。 「…ちかい、です」 「そお?…ていうか、どうなの?」 「何がですか」 「広瀬のこと。」 確かに付き合っていないと言えば付き合ってない。でも表面上は付き合ってる。 じゃあ、私と広瀬って何? なんだろ? 何? 「……わかんない。…です。」 .
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