b 虚しさ

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「俺のいない間にずいぶん仲良くなったみたいで。植原ちゃあん」 ぎゅう、と後ろから抱きつかれた。 「せ、先輩!人前です。やめてください!」 「ふふ、人前じゃなかったらいいの?大胆だねえ」 くすくすと笑う先輩はかなり、たち悪い。 お酒のにおいがする。 「はい、司。植原ちゃんはオレンジジュースね。」 カクテルを二つとオレンジジュースをコトンとテーブルに並べる。 「おいしそう」 カクテルの色は鮮やかな赤と黄色の層でできていて、魅力的だった。 お酒を頭ごなしに否定してきたけれど、こんなに綺麗なら、先輩たちが飲む理由もわからなくない。 「なに?植原ちゃんも飲む?」 「えっ。いいんですか?」 はっ、として口をふさぐ。 さっきまでお酒飲まないって言ってたのに、心変わりはやすぎでしょ! 「ぶはっ。植原ちゃん百面相!…はい、どーぞ」 二つのうち、おそらく司さんのであろうカクテルを私の前においてくれた。
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