b 虚しさ

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気づいたらグラスは空っぽになっていた。 「お酒ってこんなにおいしいんですね!なんで今まで飲まなかったんだろう!」 先ほどまで冷え切っていた身体もぽかぽかしてきた。 「植原ちゃん、お酒強いね!なんか他にも持ってくるよ!…てことで司、よろしくー!」 「持ってくるよってお前言ったじゃん!?まあ俺もほしいからいいけど。…ちょっと弱めのもってくる」 「ね、植原ちゃん」 広瀬が耳に囁く。 「っ……なんでしょうか」 「うわあ えっちい。植原ちゃん目、うるうるしてる。たまんない。」 「っあ…」 つつ、と細い指先が私の首筋をなぞった。 「せ、んぱい…」 私、酔ったのかも。 心なしか先輩の辿った部分が熱くなってく。 「ああ、も、だめ。出よ。」 ぎゅ、と先輩に抱きしめられたかと思うと、先輩の腕につかまれ、司さんを置いたまま店を出た。
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