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「っ・・・・は」
薄い唇から覗いた舌が下唇をすらりとなぞってきた。
踏み入られる。
やめて!
「先輩」
胸を叩く。
彼が入ってきた。
「先輩!」
緩んだ力に弾かれたようにして彼から離れる。
「・・・・・・いたずらが過ぎる」
「ごめんて。植原の可愛いさに免じて許してよ」
くすくすと笑う彼を横目にセーターの裾で唇を拭う。
あからさまに嫌な顔。
「俺のキス、汚くねーし!」
「はいはい。もー帰っていい?」
あー面倒くさい。
付き合え付き合え煩いから付き合ったけど、逆にこっちの方が面倒くさいかったかもしれない。
心の中で舌打ちをする。
机から滑り落ちているスクールバックを拾って出口に視線を向けた。
「ね、」
少し強い力で手首が圧迫される。
「好き?」
きた。
またこれ。
「『好きだよ』」
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