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俺じゃ、ネェ!
もう一回、目が覚めた時、夕方近くだった。
「康彦、ヤスヒコ、おきなさいよ。いつまで寝とんで、この子は!」
明らかに別人の名前を叫びながら、俺を揺さぶる、この女はなんだ。
「ナ、ナニをするんじゃあ!おきてるぞ!」
「良かったぁ、死んだかおもたわ。はよ、降りてご飯の時間で、降りてきなさいよ。」
ナニをこの女は言ってんだ?
わからぬうちに、三十代半ばくらいの、その女は部屋を出て行った。
ヤスヒコだと?
誰だ?
俺か?
考えても、わからないのでベッドから起き上がり、部屋を見回した。
鏡が、机の上にあった。
今度は、目眩も意識を失う事もなかった。
用心しながら、立ち上がり、鏡の前まで歩いて行った。
「ウン?誰?オレ?ま、さ、か、」
鏡の向こうから、知らねえ小僧が覗いてる。
指をアゴにやると、相手も、なんじゃ、コリャ!
ありえねぇ~!
パニックになった。
もう一度見た。
間違いない、いれかわってる。
赤の他人だ。
50歳の俺が、いや、結論だす前に、確かめるんだ。
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