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カッ!!
「ッ!!」
突如剣全体からとてつもない閃光が放たれ、洞窟全体を白き光が覆い尽くした。
もろに光を見てしまった龍也は視界を失い、視界を共有しているゆなともども一時周囲が見えなくなっていた。
そばでは龍たちの吼える声が段々小さくなっていくのだが……何も見えない。
ようやく視界が戻ってきた頃、龍たちの吼える声はもう完全に聞こえなくなっていた。
「あれ? これ、は……」
強烈な光を浴びたせいで錯覚を見ているのか、相当古ぼけていたあの剣が新品のように艶めかしい刃を光らせていたのだ。
何度見つめ直してもやはりその光沢は消えず、古ぼけていた剣は何故か新剣と化していた。
『ちょっと、そんなモノより龍はどうしたの! 声聞こえないけど、飛んで行ったの?』
ゆなにそう叫ばれ、龍也はハッとしたように後ろの方向へと振り向いた……が、龍也は眉をひそませながら首を傾げた。
あの龍たちがいない。
先ほどまでここで吼えていたのは確かだが、その姿は忽然と消えていたのである。
天井から空に逃げ出したとしても、流石にあの強烈な羽ばたきを経験している二人なら気付くはず。
そのようなことをあれこれ考えながら天井の方を見つめていた時。
「……ん?」
天井の方を見上げていた龍也の洋服が不意に引っ張られ、思わず下の方を見て、ぎょっと目を丸くしてしまった。
そこには、何一つ身に纏っていない小さな女の子二人が、こちらを見つめていたのだ。
緋色の髪に、紅い瞳をした女の子。
瑠璃色の髪に、碧い瞳をした女の子。
無垢な瞳を輝かせ、龍也を見上げる幼女たち。
龍也とこの子たちとの出逢いこそが、
これからこの世界で繰り広げられる、
壮絶な物語の、幕開けだった──
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