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ヒナと会話するかのように小さな声を漏らしながら、大きな身体をゆっくりと伏せてくる。
その後、竜の方へと集中していたヒナがくるりと振り返り、聞いた言葉をヒナなりに伝えた。
「えっとね、いいって!」
「そ、そっか! 凄いよヒナ」
アバウトな返事に思わず言葉を失ったが、すぐさまヒナの頑張りを褒めてあげる龍也。
ご褒美と言わんばかりに頭を撫でてあげていると、いつの間にか竜の背中に登っていた少女の声が聞こえてきた。
「アフェランドラの様子がおかしいけど、とりあえず乗って! ちゃんと学院までは届けてくれるから!」
どうにもアフェランドラのおかしな態度の原因が掴めない少女はとりあえず背中に乗り込み、龍也たちを手招きする。
いくら伏せていると言ってもティナを抱えて背中に登るのはなかなか大変そうで、どうしようかと思っていたその時。
突然龍也たちの身体がふわりと宙に浮いた。
そう思っていたのもつかの間、少女のいる背中にそっと移動させられた龍也たちは少女のそばにすとんと座る。
何やら意味深な表情でそんな龍也たちを見つめる少女はぽつりと呟いた。
「どうしてあなたたちは特別扱いなのよ。アフェランドラがこんなことに“風魔法”を使うなんて……」
「え?」
「……何でもないわ! アフェランドラ、行って!」
少女の掛け声とともに静かに竜は動き出す。
広大な空を舞うために、立派な翼をゆっくりと煌めかせながら──
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