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記憶に違わぬ姿のミルフィがそこにいた。
永遠に眠りについたかのように目を瞑り横たわるミルフィ。
そんなミルフィを前に、龍也はただただ見つめる他なかった。
思わず伸ばしかけた手も、行き場を失い宙を彷徨う。
まるでミルフィに触れることなど許されないかのように。
しばし見つめたのち、龍也はゆっくりと踵を返した。
「……人の顔だけ見て帰るなんて、悪趣味な人」
「――ッ!」
凛とした声が聞こえた。
振り返った龍也の瞳の先に、ミルフィがいた。
月明かりに照らされながら、上半身を起こしているミルフィがそこにいた。
「何か私に、用があったんでしょう?」
綺麗に整った顔を無表情に尖らせ、龍也に目線を向ける。
「……起きてたなら言ってくれればよかったのに」
「こんな時間に来る人を快く迎えると思って?」
「……ごめん、そんなつもりは」
「別に責めてないわ。気にしないで」
小さく息をつくミルフィ。
そんなミルフィの下へと歩み寄る龍也は近くのベッドへと腰を下ろした。
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