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「ちょっと待って、どこに行くの?」
「大丈夫、すぐそこだから」
言ったとおり、着いたのは十メートルほど離れたところにあった一枚鏡の前。
「ここに座って目を閉じて」
そんな鏡の前の椅子に座らせ、龍也は少女に目を瞑らせた。
「ちょっと身体に触れるけど、いいって言うまで開かないでね」
「いいけど、いかがわしい歓迎はお断りよ?」
あくまで冷静に話す少女だが、目を瞑る表情は浮かなげだ。
龍也が身体に触れてきた時はびくりとしたが、何だか頭の方でもぞもぞしている。
気になるが大人しく待っていると、ようやく終わったみたいだ。
「いいよ、目を開けて」
言われるがままに目を開けてみると、少女はあっと息を呑んだ。
月明かりが鏡に差し込んで少女たちを明るく照らす中、少女の頭に一本のリボンが結えられていた。
艶めかしく光沢を露にする一本の漆黒のリボン。
少女の鮮やかなオレンジ色の髪色と相まって一段と魅力が溢れていた。
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