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「あの、これは?」
「君へのお守り。君にこれから先何があっても、ボクがずっと君を護っていくよ」
そんなことを呟く龍也を鏡越しに見たが、本気で言っているみたいだ。
リボンを付けるのと付けないのとでは全然印象が変わる少女は、ちょっぴり表情を硬くして言った。
「嬉しいけど、よく初対面の私にそんなこと言えるのね。本当に“私”に言ってるのかしら」
大袈裟過ぎる物言いは返って不安になってくる。
この身体がミルフィだったものである以上、その可能性はなくならない。
わずかに神妙な面持ちになる少女に、龍也は静かな声で呟いた。
「不快に感じたなら謝るよ。でも、君が今ここにいるのはボクにも責任があるんだ。もう二度と、“君”を失いたくない。だから大袈裟でも、ちゃんと言っておきたかったんだ」
「……そう」
まんざらでもなさそうな表情を浮かべる少女は、そっとまぶたを閉じてそう言った。
最初は少し疑ってしまったが、今の言葉ですっきりした。
大丈夫、龍也はちゃんと言ってくれた。
君を失いたくないと言ったんだ。
他の誰でもない、この少女を見ながら。
「なら、今言ったこと、ちゃんと約束してくれる? 口先だけの男なんて、私いやよ?」
「もちろん」
そう呟く少女に、龍也はふっと笑みをこぼして言った。
「約束するよ、このリボンに誓って。君がこれを付けてる限り、ボクはずっと君のそばにいる。君のそばにいて、何があっても君を護るから」
「あら、私に誓ってくれるんじゃないのね」
「そのリボンはもう“君”のモノだからね。君の、“君だけのモノ”だから」
そう強調して言う龍也に、少女は薄い笑みを浮かべる。
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