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ナオキ「ひゃっほ~!」
《桜ヶ丘公園》と書かれた公園の入り口の手すりの上をライディングボードで滑り抜け、1人の少年は公園内の時計広場と呼ばれるレンガ敷きの空間へと降り立つ。
先ほどまで足の下にあったライディングボードは脇に抱えられていた。
マイ「ナオ~、ちょっと待ってよ!」
彼と同じ制服に白いコートを羽織った少女が彼の滑り抜けた手すりの階段をアタフタと駆けてきた。
待っていた少年ナオトに追いかけてきた少女マイが追いつく。
ナオ「遅せぇ!」
まだ息切れのマイにナオトが叱咤する。
マイ「ナオが速すぎるんだよ~ハァハァ」
マイは息も途切れ途切れに訴えかける。
ナオ「マイもボード使えばいいんだよ。
持ってんだから。」
ナオトは小脇に抱えていたライディングボードを差し出す。
マイ「ナオだから出来るんだよ!私には無理!」
差し出されたライディングボードを押し返す。
ナオト「まぁ、マイは運動できないもんな。」
ナオトは押し返えされたボードを抱え直してゆっくりと歩き出す。
マイも深く頷いてナオトに着いてゆく。
ナオト「なぁ、今日から始めるんだろ?」
ナオトは振り返りながらマイに問いただす。
マイ「何を?」
マイは意味が分からない様子で首を傾げる。
ナオト「《フューチャーズキングダム》始めるんだろ!」
マイ「あぁ~、うん。カイ先輩もやってるみたいだし…覚えよっかなって!」
マイの笑顔に若干の嬉しさと不快感を感じつつもナオトは前を向き直して歩き出す。
マイ「ナオトも一緒にまたやろうよ!」
マイはナオトを抜き去って振り返る。
ナオト「気が向いたらな!」
振り返ったマイを交わしてナオトは前に進む。
マイ「楽しそうなゲームなんだけどなぁ。」
マイもまた前を向き、ナオトに着いてゆく。
ナオト「知ってるよ!」
今度は振り返る事無くナオトはそつなく会話をいなす。
2人は公園を抜けて《さくら商店街》と書かれたアーケードをくぐり抜け、その一角にあった《カードクリムゾン》と書かれたお店へ入る。
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